6月4日、獣人界中央都市警備隊が金属系オブジェの相次ぐ盗難事件に関して、犯行の中心にカラス獣人の一団が関与している可能性が高いと発表した。
背景にあるのは、カラス獣人たちの間で突如流行しはじめた「ピカ活(ピカピカ活動)」という謎のトレンド。
SNSを中心に、「今日の光りものコーデ」「反射率95%達成記念」などの投稿が爆増し、
中には自宅の天井を鏡張りにした強者も現れるほどだ。
ところがその熱意が一部で暴走。
市内各所で、銅像の杖が消えたり、電灯の反射プレートが剥がされたりする被害が相次ぎ、
ついには中央時計塔の分針までもが“ピカ活対象”として消失するに至った。
カラス獣人のひとり、クラッシュ・カラスミ氏(22)はインタビューにてこう語る。
「だって反射率がすごかったんですよ。陽を浴びたとき、見えたんです、心の中の光が」
彼の翼は銀色に染まり、ポケットにはナットとスプーンがぎっしり詰まっていた。
獣人界文化庁はこれを「感性の暴走」と位置づけ、ピカ活の健全化を呼びかけている。
現在、“本物の金属”ではなく“安全な光沢素材”を推奨するガイドラインが策定中だ。
一方で、「カラス獣人が輝きを求めて何が悪いのか」「盗んでない、拾っただけ」という意見もあり、
事態は文化と治安のはざまで揺れている。
光に憧れるあまり、見えなくなった“他者の迷惑”。
このブームの行く末に、獣人界全体が注目している。
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[…] しかし、運用初日から予想外のトラブルも多発。・ドアポストと勘違いして煙突に投下・滑空中に荷物を落としてリス獣人の頭上直撃・空中でカラス獣人のピカ活隊と接触、荷物をすべて持っていかれる […]