5月17日、獣人界インターネット監察局は、ゲーム実況を主な活動とする“配信獣人”がついに100万人を突破したと発表した。これは獣人界全体の通信アクティブ登録数の7%にあたり、今やゲーム配信は完全な一大産業となっている。
とりわけ人気のある配信獣人は、同時接続10万人を超える影響力を持ち、スポンサー契約やイベント出演で年収数百万ベリクルを稼ぎ出すスーパーエンタメ獣人だ。最近では“吠えるだけでトレンド入りするオオカミ獣人”や“片手でFPSしながら片手でスープを煮るカバ獣人”など、キャラ性と技術の融合が求められている。
しかしその一方、視聴者ゼロ〜1人という“静寂の谷”で孤独に吠える獣人たちも存在する。スタート直後の配信では、コメント欄が一切動かないまま2時間が過ぎ、画面上でだけ“元気いっぱい”なテンションが空回りする現象が多数報告されている。
「0人のまま“おつかれさまでした!”って言うとき、画面越しに自分の心が見える」
そんな匿名ハイエナ獣人の投稿が話題になるなど、競争の厳しさと心の摩耗も無視できない問題となってきた。
それでも、当たればでかい。それが獣人界配信業界のリアルだ。今や“バズるか燃えるか”を繰り返す配信獣人が増え、“人前でゲームすること”が特技にもスキルにもなる時代がやってきた。
SNSでは「0人から始めて今や2人!実質2倍成長!」というポジティブな声もあれば、「あまりに視聴者がいないと、NPCにすら見放される」など、切実な配信裏話も溢れている。
数が増えたからこそ、夢と現実がどちらも濃く見えるようになった。
そして今日もどこかで、誰にも見られていない獣人が“誰かの初めて”を待ちながら、ゲームを始めている。
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