歯が生え変わらないライオン獣人の乳歯が高騰し投資家たちの間で静かなブームに

5月10日、獣人界の歯科研究機関は「ライオン獣人の一部で“乳歯が永久歯化する”現象が確認された」と発表した。通常、ライオン獣人は成長に伴い乳歯から立派な牙に生え変わるが、ごく稀に“そのまま一生持ちこたえる”異例の歯があるという。

特に注目されているのは、乳歯が本来の寿命を超えて数十年も健在なまま機能し続けるケース。表面に微細な金属変化が見られることから“牙石化”とも呼ばれ、装飾品や護符としての需要も急増中。市場では1本あたりおよそ3万ベリクル前後で取引されており、歯の状態によっては10万を超えるプレミア価格がつくこともある。

この現象を最初に公表したのは、50歳のライオン獣人・カガミ・ガブリ氏。彼の右下犬歯は生後6ヶ月時の乳歯そのものでありながら、現在でもまったくぐらつきもなく現役で肉を引きちぎっているという。「抜けるタイミングを完全に逃した」と語るガブリ氏は、現在“天然永久乳歯保持者”として講演依頼が殺到している。

一方、投資家たちの間ではこの乳歯に目をつけた動きが活発化。「抜けるかどうか不確かなプレミア感がいい」「1日1ミリでも摩耗したら資産価値が上がる」など、半ば骨董的扱いでコレクションされている。オークションサイトでは“初期型乳歯”や“咀嚼回数証明書付き”などの認定基準まで登場し、バブルの様相を呈している。

専門家は「過剰な投機には注意が必要」としつつも、歯の成分が他種族より特殊である可能性も示唆しており、今後さらなる研究が進められる予定だ。

乳歯はいつか抜けるもの——その常識が、いま揺らいでいる。そして今日もどこかで誰かが、抜けない乳歯にベリクルを積んでいる。

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