鳴かぬカナリア獣人が爆誕し獣人界の音楽教育が揺らいでいる

5月9日、カナリア獣人の中でも極めて異例の存在として、幼鳥期から一切の発声を行わないムクチ・ピチュ氏が正式に認定された。獣人界では、カナリア獣人=歌声というのはほぼ常識。音楽教育の初等カリキュラムにおいては、むしろ「鳴くことが前提」で授業が組まれているほどだ。

しかしピチュ氏は頑なに沈黙を貫く。医師の診察によると、発声器官自体には異常はなく、むしろ非常に高性能。あまりに性能が高すぎて「すべての音が自分には雑音に聞こえる」と語ったことから、“超音感性沈黙症”という仮診断が下されている。本人はいたってマイペースで、「自分の内側ではずっとオーケストラが鳴ってるから、外に出す必要を感じない」とコメント。周囲は理解に苦しみながらも、「確かにうるさい環境で急にハーモニー崩れるタイプかもしれない」と納得したふりをしている。

一方で、教育現場には困惑が広がっている。カナリア獣人の小学校教師の一人は「声を出さずに卒業する生徒は前代未聞。しかも、口パクで歌詞を批評してくるのでめちゃくちゃ圧がある」と証言。ピチュ氏が授業中に一度も口を開かず、目線だけでハモりのズレを指摘したというエピソードも話題になった。

SNSでは「逆にロック」「これはもう声の尊厳」「沈黙は金、ピチュはプラチナ」など評価は真っ二つ。沈黙系アーティストとしてのデビューを期待する声もあり、すでに“無音ライブ”の開催が計画中だという。

獣人界において、鳴かぬカナリアは存在しないはずだった。けれど今、ひとつの沈黙が、新たな表現の可能性を静かに切り開こうとしている。

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