ヘビ獣人の体は少し変わっている。多くが左肺だけで呼吸しており、右肺はほとんど機能していない。そのため、右肺は生まれながらにして“お飾り扱い”を受けがちだった。しかし今、その不要とされた肺が、獣人界の医療現場で大活躍している。臓器移植を待つ獣人たちにとって、ヘビ獣人の右肺はサイズ・適応率ともに非常に優秀。自らの不要な臓器を他種族に提供する“右肺バンク”が注目され、登録希望者が急増中だ。
先日、ヘビ獣人のミナギ・スルル氏が提供した右肺が、肺疾患を抱えていたオオカミ獣人の命を救った。本人は「使ってなかったし、くすぐったいくらいだった。押入れの毛布を譲ったくらいの気持ち」と話すが、医師たちの評価は真剣そのもの。「負担が少なく、構造的に理想的。今後の肺移植の新しい選択肢になる」と専門家も太鼓判を押している。
SNSでは「右肺ありがとう」「私も登録してくる」「右肺に感謝って初めて思った」など、賞賛と感謝の声が相次いでいる。一方で、「右肺って感情あるのかな…ちょっと寂しい気持ちにもなる」など、意外な方向からの意見も見られた。
それでも確かに言えるのは、かつて“使われなかった肺”が、今まさに誰かの命を支えているということ。いま獣人界では、静かに呼吸を止めていた臓器が、新たな命の息吹となって生まれ変わっている。
右肺さん、お疲れさまでした。
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