恋の日にコイが舞う、そして揚がる

5月1日は獣人界で“恋の日”として知られているが、同時にコイ魚人たちの象徴の日でもある。恋と鯉――音が似ているから、という単純な理由で始まった記念日だが、いまやその文化的意義は計り知れない。

特に注目されたのは、ニシキゴイ魚人たちによる「舞いの儀」。絢爛な鱗をなびかせ、池から池へと美しく舞う姿に、多くの獣人が目を奪われた。彼らの目的はただ一つ。魚人たちの獣人権獲得を“争い”ではなく“文化”で訴えること。

「血じゃなく、舞を撒く時代だよ」
と語ったのは、ニシキゴイ魚人の代表であるコイメイ氏。長年“半獣”として線引きされてきた魚人たちが、自らの姿と誇りを見せつける瞬間だった。

しかしその夜、祝宴では――鯉の唐揚げが振る舞われた。
「ちょっとややこしい気もするが、あれはニゴイ魚人だからセーフ」と、宴の主催者は曖昧に笑った。

獣人界の恋と鯉の物語は、まだ始まったばかりだ。
愛か、アイフライ(揚げ物)か。
来年の恋の日は、どんな味になるだろうか。

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