今年のゴールデンウィーク、獣人界から人間界へと多くの獣人たちが観光に訪れた。
動物園、水族館、遊園地といった人気スポットは、日頃から“人間観察”に興味を持つ獣人にとって、まさに夢の遠足先だった。
しかしその興奮は、思わぬ騒動を巻き起こす。
東京の某動物園で起きたのは、まさかの“誤認捕獲”事件。
園内を歩いていたカバ獣人のトオデ・スル氏が、来園者に「カバが逃げた」と通報され、スタッフに“確保”されてしまったのだ。
「リュック背負って、2足歩行で歩いてたんだけどね。
捕まったときは、俺が何なのか本気で分かってなかったみたいだよ」
驚きながらも笑顔で語るスル氏は、園側から“落ち着くため”に手渡されたスイカを3玉たいらげ、無事釈放されたという。
この件を受けて獣人界観光庁は、今後人間界を訪れる獣人に“識別リボン”の着用を推奨する方針を発表。赤と銀のリボンが目印になる予定だが、SNSでは「余計に目立つ」「コスプレ扱いされそう」と早くも賛否が分かれている。
観光需要は高まり、経済効果も上々。だが、獣人と人間の“文化ギャップ”はまだまだ深い。
スル氏は、最後にこうつぶやいた。
「次はもっと安全な場所に行くよ。…たとえば、本屋とかね。
ただ、スイカ3玉ってのは、ちょっとクセになりそうだけど」
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