獣人界ではこの春、例年にない異常気象により、季節の境目が吹き飛んだ。冬がようやく終わったかと思えば、わずか数日で30度超えの夏日が到来。春服を買い込んでいた獣人たちは、ただただ立ち尽くすしかなかった。
「春が……なかった……」
おしゃれに命をかけるウマ獣人のトレンディ氏は、涙ながらに語る。最新トレンドを意識して先行予約した春物ジャケットたちは、一度も袖を通されることなくタンスの肥やしに。獣人界のあちこちで、同じような悲鳴が上がっている。
さらに、もこもこの毛皮を持つヒツジ獣人やシロクマ獣人たちは、Tシャツ一枚でも「もう暑い」と嘆く異常事態。街中では、うっすら汗をかきながら扇子をあおぐ姿も見られた。
気象庁獣人支部によれば、「この先も春は短く、夏が前倒しでやってくる見込み」とのこと。各アパレルブランドも大慌てで、「春服即アウトレットセール」を展開。中には、春服をそのまま“涼感春物(?)”として売り出す強者ブランドも現れている。
この未曾有の気温変動に、獣人たちは適応できるのか?
一つだけ確かなのは、「来年の春も信用できない」という教訓が、獣人界に深く刻まれたことだろう。
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