3月10日、獣人界で史上初と思われる事件が起こった。チーター獣人の中でも最速と噂されてきた“獣寄り”タイプのヒャダイン氏が、ついに時空を超えて消失したというのだ。周囲の目撃者は「あまりに速すぎて、見えたと思った瞬間にはもういなかった」「風を切る音だけが残っていた」と語り、獣人界全体が驚きと困惑に包まれている。
このヒャダイン氏は、知能面より身体機能を優先する“獣寄り”種として生まれ、幼い頃から「いつか光より速く走りたい」という野望を秘めていたらしい。獣人学校の運動会では常にダントツ優勝、次々と走る相手がいなくなり、そのままプロの競技会に出場しても“勝負にならない”とさえ言われていた。だが、本人はさらなる高みを目指すべく、日々ひたすらに走り込むストイックな生活を送っていたという。
そして迎えた3月10日、練習を重ねていたチーター獣人は、ついに“音速はおろか、光速をも超えた”と噂されるスピードを叩き出し、観測機器が異常値を連発。周囲のランナーやコーチが唖然とする中、当人は「足音すら遅い」と言わんばかりに地面を蹴るやいなや、視界から跡形もなく消えてしまったらしい。時空を越えた瞬間、背景が歪むような残像が一瞬見えたという証言もあり、まるでSF映画のワンシーンを地で行く出来事が現実になった格好だ。
SNSでは「#チーター獣人時空突破」「#速すぎて次元歪む」「#もう競争相手も観客もいない」といったハッシュタグが急上昇。皆が半ば冗談交じりに「いつかどこかでポッと戻ってくるんじゃないか？」「過去や未来でトレーニングを続けているかも」と噂し合っている。専門家たちも「獣人の運動性能が限界を超えた場合、理論上は時空に干渉し得る…などと話していたが、まさか本当に起こるとは」と衝撃を隠せない様子だ。
一方、当のヒャダイン氏は今どこにいるのか、あるいは本当に別次元へと旅立ったのか。消息を追う術がないため、仲間たちは「走り込んでいた場所に戻ってきてくれないかな」と期待を寄せつつも、再会は不確定だ。
果たして、ヒャダイン氏が限界を超えるスピードで駆け抜けた先はどんな景色なのか。いま獣人界はワクワクと不安が入り混じった空気に包まれている。いつの日か、遥か未来から彼が戻ってきて、“次元の向こう”で見たものを語ってくれるのか――その時を待ち望む者は少なくないようだ。
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